VEMURAM

自社オリジナルパーツそして日本製に拘り、他ブランドでは真似出来ないVEMURAMサウンド

今回はVEMURAMエフェクターについて、ブランド立ち上げの経緯から、そのサウンドを生み出す要因となっている拘りまで、(株)トライサウンドの高橋氏にお話しをお聞きしました。

対談

(株)トライサウンド
高橋 洋雄

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MUSICLAND KEY
下田 紀彦

(L to R)
(株)トライサウンド 高橋 氏
MUSIC LAND 下田

ニューヨークで売れれば世界で売れるよ!

  1. 下田(以下、下):今日はよろしくお願いします。

  2. 高橋(以下、高):こちらこそお願いします。

  3. 下:まず、VEMURAMブランドの経緯を教えていただければと思います。

  4. 高:はい、2008年に現社長の上村とエンジニアの手塚の2人で立ち上げたのがそもそもの始まりです。当初は物事が上手く進まない状態が続き、四苦八苦していた丁度その頃、ニューヨークのクラブでライブをしていた上村の弟に話をしました。ベーシストでもある彼はニューヨークシーンのアーティストを沢山知っているという事もあり、じゃあ彼らに紹介してみたらどうだろうか?という意見の元、以前から知り合いだったダリルジョーンズに紹介した所かなり気に入ってもらいました。さらにダリルジョーンズの周辺ミュージシャンに色々意見を聞きながら進めていた所から、VEMURAMは急激に前進し始めました。そして2010年の冬に上村と手塚はニューヨークに行き、ニューヨークのお店に「VEMURAMを置いてもらえないか?」と飛び込み営業をし、そして2店舗にとりあえず置いてもらえる事となりました。そこがVEMURAMのスタートとなります。

    「ニューヨークで売れれば世界で売れるよ!」との思いで……。

  5. 下:VEMURAMの名前の由来は何でしょう?

  6. 高:社長の名前が上村(うえむら)なんですが、海外の方が発音すると「うえむら」の「う」が「べ」になり「べむら」「べむら」と言われ、そしてフルネームが上村 正樹なので、正樹の「M」を取って「ベムラム(VEMURAM)」となりました。

    さににモデルの名前ですが、まず「Rage e」ですが、これは社長の上村の長男の名前「レイジ」から取ってます。続いて「Karen」、これは長女の名前です。かっこ良く言うと可憐に音が舞う。「Jan Ray」、これは社長の甥っ子の名前です。かっこ良く言うとジャンジャン弾いて輝くと言う事です。解き明かすと面白いですよね(笑)。

自信があるものを作らないといけないので全てにおいて拘っている

  1. 下:Made in Japanはやはり拘ってる所ですか?

  2. 高:そうですね、日本製には拘ってます。例え価格が高くても良い物を作れば認めてもらえると思います。ただし、自信があるものを作らないといけないので全てにおいて拘ってます。

    拘りと言いますと、まず筐体ですがこれはオールブラスです。他ブランドを見てもらえばお分かりだとは思いますが、ブラスを採用しているのは当社だけだと思います。ブラスの良さというか、はっきりとはわからないですがグランドの安定だと思います。ケースは回路的にグランドと繋がっているので、回路の一部と言っても過言ではないのです。なので、このブラス筐体にアースをしていることが音質にも何らかの影響を与えているのだと思います。しかしその根拠はよくわかりません。音質の問題なので。音質は独特な倍音だったり分離感、高域の抜けがいいような気がします。あくまで私個人の意見ですが。ブラスの筐体は価格が高く、通常では使用しないでしょうね。加工も限られた所でしか出来ないですし……。もちろん基板もハンドメイドで、そこは立ち上げ当初から何も変わってないです。

    実は内部のパーツも一部オリジナルの物を使用しています。まずコンデンサーですが、これもVEMURAMオリジナルの物を一部で使用しています。本来であれば企業ですから、コストを抑え利益を追求するのも大事な部分ですが、そこは価格度外視という事でその様にしています。一部のヴィンテージパーツでは、それを使用することでしか得られないサウンドがあるのは分かっていますが、そのパーツが入手出来なくなるとその特徴的なサウンドが出せなくなるという所から現行で近いサウンドのパーツを探して、オリジナルで定数を指定して作っています。ですからVEMURAMのサウンドはこれでしか有り得ないです。他社が真似出来ない、という事になります。

    それから3PDTスイッチ。エフェクターで一番修理の多い部分ってスイッチの部分だと思います。1年間の保証があってもスイッチの保証は対象外になる事が多いので、それだったらスイッチをどうにか出来ないか?という所からオリジナルにと行き着く訳です。それともうひとつ、スイッチの金属部分を接点の酸化防止のため金メッキにしました。銀や銅は使用していると酸化します。実際はある程度の酸化をしてもそれほど音質面に大きな影響はないのですが、やはり拘ると金メッキということになります。スイッチのピンは半田しているので関係ないですが、内部の接点はラダーとピンがスイッチングにより接点を切り替えるので、そのコンタクトが酸化しないに越したことはありません。ここはプラグのように直接磨いたり出来ないので。

    また、ジャックの金属部分を金メッキにした物をテストしています。現在採用しているジャックは銀メッキのものですから、信号の伝導率の点では最も優れていますが、やはり長く良い状態で使っていただくという意味では酸化の問題が気になります。ユーザーが容易にこの内部の接点を磨く事は出来ないので金メッキの接点を持ったものを作りました。金は酸化はほぼしないので、このように見えない、手の届かない接点として接触を繰り返す部分には最も適していると考えています。コスト高になりますが可能な限り良い物を作ることに振り切るメーカーとして、今後こちらのタイプを採用していくべく検討しています。

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