Fender Custom Shopの創生期から、その発展に貢献を果たした元マスタービルダー「J.W.Black」が自身のブランドを立ち上げカムバック!!
今回は、J.W.Black Guitarsの総卸元である(株)黒澤楽器店 鈴木拓也氏にお越しいただき、ミュージックランド 遠藤とその詳細に迫りました。
対談
黒澤楽器店
東京卸営業部所属
鈴木 拓也
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MUSICLAND KEY
遠藤 寛之
(L to R)
(株) 黒澤楽器店 鈴木 氏
MUSIC LAND 遠藤
クラシックな特徴を持ちながら、プレイヤーに向けた楽器
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遠藤(以下、遠):遂にというか、J.W.Black自身のブランドが出ましたね。
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鈴木(以下、鈴):そうですね。他のビルダーへのボディやネックのエイジド加工などは行っていましたけどね。
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遠:フェンダーを好きな方、知っている方には、待望という方もいたでしょうね。初回入荷時の反応も、非常に良かったですからね。経歴もすごいですもんね。J.W.Blackをよく知らない方でも、「へ~そうだったんだ」と興味を持ってくれました。
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鈴:最初はリペアをやっていて、(エリック)クラプトンのモデルやグラフィックを行っていた、マーチン社のDick Boakとギターを作り始めたのが最初です。木材選び、フィニッシュ、アッセンブリーまで、ギター製作を始めてすぐに様々な部分に携わり、基礎を親身に教えてくれたそうです。
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遠:羨ましいですね。ロジャー・サドウスキーとも仕事をしていましたよね。
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鈴:出会ったのは76年で、Dick Boakの元で働いていた時も連絡を取っていて、仕事を手伝っていたようです。86年からニューヨークの店で4年間、ギター修理、製作を行いました。ロジャーのお客さんは世界的に有名なアーティストが多く、ここでの仕事はすべてが非常に印象的だったと言っていましたね。マーカス・ミラーも当時ユーザーでしたからね。この頃、ジョン・サーともいっしょに仕事をしていました。
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遠:今も仕事での付き合いがあるのも、この頃があるからなんですね。その後、フェンダーに。
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鈴:ジョン・ペイジから採用のオファーがあり、マスタービルダーとしてスタート。カスタムショップの1点もののギターをつくったり、エリック・クラプトンやジェフ・ベック、リッチー・サンボラのプロト、世界に名だたるミュージシャンにかかわる仕事を経験してきました。アーティストからの要望が多くあった、楽器に経年変化を施すレリック加工も彼の仕事です。
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遠:J.W.Blackといえばのイメージはついてますからね、レリック加工は。圧巻ですね。
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鈴:2002年にフェンダーを離れ、ヴィンテージギターの修理、修復、他のビルダーへのボディやネックのエイジド加工を行ってきて、J.W.Black Guitarsをスタートと。
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遠:ブランドのコンセプトというか、スタートさせた理由とかは。
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鈴:ヴィンテージギターを修理、修復するという事は、弾きやすくするという反面、オリジナルを保てなくなり、価値を下げてしまう事もある。この仕事をしてきた事が動機となり、クラシックな特徴を持ちながら、プレイヤーに向けての楽器を製作したいと思ったそうです。
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遠:ラインナップは?
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鈴:シェイプは、ST、TL、JBスタイルの3機種で、J.W.Black製作の、JWB-S、JWB-T、JWB-JBと、日本製のJWB-J-S、JWB-J-T、JWB-J-S-J BASSになります。
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遠:J.W.Black製作は一人でやっているんですか?
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鈴:木材のセレクト、ボディ、ネックの組み合わせ、塗装、組込を一人でやっています。ネックに関しては、ネックのヘッドデザイン、切り出し、握りもハンドシェイプでおこない、フレットを打ち仕上げています。ケースやパーツなどは、友人の協力もありますが、それぞれのパーツが手に入った後は、工房でたった一人で作業をしています。
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遠:まがらないものが出来上がるわけですね。レリックの加工もありますし、あまり数は作れないですよね。
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鈴:月産で5本程度ですね。日本製のものも量産はしていません。15本ぐらいでしょうか。
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遠:パーツはゴトー製ですかね。ピックアップはオリジナルですか?
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鈴:ゴトー製ですね。細部にもこだわりをもっているし、ヴィンテージスタイルのパーツとしても、文句なしに好きだそうです。楽器にあわせたスタイルに、ノイズ面も考えられ、ピックアップはオリジナルで製作されています。
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遠:世界のゴトーなわけですね。
コレクターズアイテムではなく、現場の楽器として使ってほしい
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遠:ネックを握った印象太めであるのと、指板のRですが、ハイポジションにいくとゆるくなっていますよね。コンパウンドラディアスですよね。
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鈴:そうです。J.W.Blackは、ネックとボディのバランスが重要と言っていますが、ネックは厚いシェイプが良いトーンになると。プレイアビリティを考えると、太くすると弾きにくいと感じる場合もあるかもしれないので、ネックの太さと形状をうまく組み合わせ、弾き心地のいいシェイプとトーンを両立できるよう考えているようです。ベースのネックには、安定させるためにグラファイトを組み込んでいて、デットポイントを解消させる働きもあると。ボディは、アルダー、アッシュ、バスウッドを使っています。
サウンド的には、甘く、豊かなものを求めているそうです。ブライトなサウンド、タイトな音、トーンの豊かなものなど、材を選択しますが、やはりネックとの関係が重要で、必ずセットで選んで決めていくと。
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遠:実際、材の種類もそうですが、重量でも変わりますしね。ネックとボディのバランスは大きいですよね。その分、手間もかかるし、良い材を確保するのが大事ですし、大変な事ですよね。
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鈴:35年にわたるキャリアが、多くのパイプをもっているんでしょうね。
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遠:21フレットのものもありましたが、22フレット、トップアジャストが多いですよね。 やはり、現場の意見が多いからですか。
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鈴:アメリカでは、プレイヤーからもローディ側からもこの仕様の要望が多いそうです。フェンダー時の顧客の大部分のプレイヤーからも、22フレットを選択されていたと。レオのデザインしたものへの最良の改善として採用したそうです。
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遠:リペアマンからすれば、ヒール側での調整はスムーズではないですからね。ネックを外すという行為も、経験のない人だと抵抗がありますからね。プレイヤーにも、リペアマンにも優しい楽器ということですね。
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鈴:コレクターズアイテムではなく、現場の楽器として使ってほしいと。好みがあるにしても、プレイヤーはヴィンテージギターを求め、好みますが、非常に高価で、キズなどによる価値を落とす事を恐れていると。ケースの中にしまっておくのではなく、仕事に使える素晴らしい楽器としてもってほしいと。
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遠:見栄えに関しては、申し分ないですもんね。サーフェイサー、クラックの入り、色あい、エイジド具合がほんと圧巻ですね。見てても飽きないです。
(日本製も)基本的な仕様は、J.W.Blackの製作したものを受け継いでいます
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遠:日本製のモデルの特徴は?
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鈴:基本的な仕様は、J.W.Blackの製作したものを受け継いでいます。
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遠:ネックまわりの処理を見ても日本人らしいですよね。フレットサイドがしっかりと丸められていますね。
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鈴:仕込みとか、作り、日本製が好きな人もいるじゃないですか。
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遠:そうですね。サウンド的にもありますよね。比べた感じ日本製の方がまとまっている印象があります。ネックもしっかりした握りですが、弾き心地はいいですよ。
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鈴:ヴィンテージタイプを基本としながら、スムースでモダンな要素をもった日本製専用のオリジナルピックアップを搭載しています。
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遠:バランスもいいですね。塗装も木目が見え、極薄のラッカーフィニッシュで仕上げられていますね。こういう楽器好きな人いますよ。今後の展開とかはどうなんですかね。オーダーとか、他モデルとか。
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鈴:今の段階ではわからないですね。1本1本じっくり製作していくスタイルは変わらないので。いずれ、オーダーもできればいいですね。
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遠:今日はありがとうございました。