「今までになかったサウンドを追求していく」という思想のもと、独創的なニュー・エフェクトを続々と開発している日本が誇るエフェクト・ブランド、BOSS
今回は、数々のBOSS製品の製造、開発を経験してきた山田 康之氏に直接インタビューを敢行。歴代BOSSエフェクターの中で特に印象に残った作品、最近話題となっているループステーションの秘話など必見です!
対談
BOSS株式会社
山田 康之
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MUSICLAND KEY
田ノ上 慶

(L to R)
BOSS株式会社 山田 氏
MUSIC LAND 田ノ上
ツインペダルシリーズのコンセプトはコンパクトと同じくメイン機能を1つに絞り込んだエフェクト
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田ノ上(以下、田):はじめまして、よろしくお願いします。
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山田(以下、山):よろしくお願いいたします。
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田:まず最初に、山田さんがBOSSに入社しようと思った動機はなんだったのでしょうか?
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山:学生時代はバンドでギターを担当していました。当時からエフェクターが好きで、色々なブランドのエフェクターを試してきました。その中でも「OD-1」のサウンドに魅了されてしまって……、「これはすごい!」と当時感激した事を今でも覚えていますね。そこから様々なBOSSエフェクターを使用してきました。演奏する他に、当時からギターやエフェクターなど自分で改造したりするのにも興味があり、マルチエフェクターを自作で作ったこともあるんです(笑)。 とにかくBOSSのエフェクターが好きで、自分で製作してみたいなと……。これが入社するきっかけですね。
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田:これまで山田さんが製作に携わったエフェクターを教えてください。
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山:GP-8/16、PH-2、OD-2、AC-3、TU-3、ツインペダルシリーズ、RC-20/20XL、RC-2(ループステーション)、などですね。
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田:ツインペダルシリーズについてですが、ツインペダルシリーズがリリースされるまでは、歪みや空間系のみに特化したエフェクターは他社でも存在しなかったと思うのですが、製作したきっかけは何だったのでしょうか?
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山:単機能エフェクトとしてはコンパクトペダルが一般的ですが、コンパクトペダルは操作パネルの面積が限られてしまう為、つまみの数にも制約があり、ペダルの数も1つなのでリアルタイムの操作も限られていました。そこで、それらの制約を取り去る事で、もっと可能性が広がるペダルが作れるのではないかという発想がきっかけでした。
ツインペダルの基本的なコンセプトはマルチエフェクターでは無く、コンパクトペダルと同じくメイン機能を1つに絞り込んだエフェクトという感覚です。
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田:現在販売されている最新のマルチエフェクター「GT-10」は他社のマルチエフェクターと比べても素晴らしい出来だと思います。現在に至るまで色々なマルチエフェクターを製作されたと思いますが、一番苦労したことをお聞かせください。
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山:初のギターマルチエフェクトとなる「GP-8」の開発を行ったのですが、これを実現するには内蔵エフェクターの制御をCPUで行う必要があった為、全てのエフェクターを電圧制御可能な回路に設計しなおしました。また、本体CPUやフットコントローラーの制御ソフトのコーディングも一人で行う必要があったので、当時凄く苦労した思い出があります。その苦労の甲斐もあり、今のGT-10や今後販売していくマルチエフェクターにも大きく影響すると思います。