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Catalinbread Formula 5F6は、ヴィンテージツイードBassmanならではのキャラクターを、どんなクリーンアンプでも味わうことのできるオーバードライブです。
ツイードBassmanは、ベース用アンプとして作られたアンプですが、もしかすると全ての「ギター」アンプの中で、最も影響力のあるアンプと言えるかもしれません。Treble、Middle、Bass、そしてPresenceコントロールに、4×10インチスピーカーは、ギターアンプとして完璧な構造で、ギタリストも即座にそれに気づきました。Bassmanがどのような影響を与えたかは、実際にその回路と、有名な英国製アンプなどを比較してみるとよく分かります。
ツイードBassmanのヴォリュームをロー〜ミディアムあたりにセッティングすると、リッチで煌びやかな美しいトーンが得られます。そこから少し上げていくと、ギタリストにとっては最高の、ピッキングアタックに高い応答性を示す“on edge of breakup"キャラクターが表れます。オープンコードは鐘のような、豊かなハーモニクスが得られます。そして、Volumeを12まで上げれば、分厚く、クリーミーで生々しいクランチトーンに。そのサウンドは全てのヘヴィギターの源流となる、まさにオリジナルなサウンドです。さらに、強く弦をヒットすれば軽いコンプレッションと共に音のレスポンスが少し後退。この音は本当に気持ち良く、プレイがしやすいバランスです。
ツイードBassmanは、まさにタッチセンシティブで、全帯域において美しい音です。ストラトキャスターでプレイすればまさにMade in Heaven。ギブソンスタイルのギターなら、さらに歪みやすくなり、その音はかつての偉大なレコードで聞いた音だとすぐに気がつきます。
Formula 5F6は、そんな全帯域におけるレスポンスを実現!
強く弾けば即座にコンプレッションがかかり、煌びやかで鐘のようなトップとタイトなローエンドのワイドレンジなクリーンサウンド再現します。
そして、それだけではないのです。Formula 5F6の回路を調整し、美しいヴィンテージBassmanのレスポンスを実現した後、こう考えました。「もし、マーシャルの存在を知らずに、Bassmanをゲインアップしたらどうなっただろうか」と。そして、ゲインやトーン回路を微調整してみると、全く新しい音、ハイゲインでブライトなアタックを持つ音ができあがりました。そして、この音を、内部のModeスイッチで切り替えるようにしました。
Formula 5F6は、様々なスタイルの楽曲に適した音を出すことができます。例えばバディ・ガイやオーティス・ラッシュのようなストラトにBassmanをつないだブルースから、ジミーやSRV、ロビー・ロバートソン、ロベン・フォードなど、多くのギタリストが奏でた音を、オーバードライブやファズペダルとFormula 5F6を組み合わせることで作ることができます。
そして、Formula 5F6は、古い音楽にしか使えないわけではありません。このペダルの持つ美しいレスポンスは、全く新しい音、全く新しい楽曲へのイマジネーションに直結します。
■Gainコントロール
Gainノブは、もちろんGainをコントロールするものですが、回路的に見ると、ツイードBassmanのBright Volumeと同じものです。低く設定すればきらめくようなクリーンサウンドが得られ、そこからセンターあたりまで上げれば、ピッキングの強弱やプレイングでクリーンと軽い歪みを簡単にコントロールできるようになります。そして、Gainを最大に、つまりヴィンテージBassmanで言う12の位置にすれば、カリフォルニアらしく、そして分厚いオーバードライブサウンドとなります。
BassmanのBright Volチャンネルのように、このコントロールはゲインを下げるほど音がブライトになります。(ブライトキャップ)そしてゲインを上げていくほどにブライト回路の効果は薄れます。これにより、素晴らしくきらびやかなクリーントーンと、暖かい歪みをGainノブの設定で簡単に作ることができるようになります。
しばらく使えば、自分のスタイルに合ったスイートスポットが見つかります。
(本物のアンプとは異なり、ゲインを最小にしても音がでなくなることはありません。)
■Volumeコントロール
ペダルの出力音量を調整する、Master Volumeコントロールです。美しいクリーンと“on edge of breakup"レスポンスを実現するためには、このVolume を最大に設定し、Gainノブを最小から少しずつ上げていって調整することで得られます。これはまさにBassmanならではの調整方法です。
通常、エフェクトON時にはOFF時よりも少しだけ音量が大きくなる程度に調整すると、良い結果が得られます。
■Treble、Middle、Bassコントロール
これらのコントロールは、それぞれ高域、中域、低域の調整をするもので、ツイードBassmanのトーン回路(Tone Stack)にあたります。アンプのトーンコントロールに慣れているなら、これらのノブの役割は言うまでもないでしょう。最高の音を作るため、トーンノブの位置に関わらず、丁寧に調整してください。例え、Trebleが最大、MiddleとBassが最小となったとしても気にする必要はありません。必要な音を作るため、本当に使えるトーンの幅はまるで巨大な宇宙のように広がっています。
通常、Gainを高く設定すればBassを低めに、Gainが低いならTrebleを低めに設定することが多いです。つまり、Gain設定によってこれらのトーン設定は決まってきます。これは本物のアンプでも同じことです。
Middleノブは、もう1つのGainノブのように使うこともできます。ミッドを高く設定すればミッドレンジがより強くなります。最大のゲインを試したいなら、MiddleノブもGainのように使ってみてください。逆に、とにかくクリアなクリーンサウンドが必要なら、Middleノブは低めにし、Trebleと、場合によってはBassを高めにしてみてください。
はじめはTreble、Middle、Bassを全て12時の位置に設定するのも良いのですが、全てのノブを最小に設定し、そこから調整する方法も試してみてください。すると、ペダルのトーンがよく分かります。なぜなら、このTone Stack回路はプリアンプの中で、2つのゲインステージの後にあるからで、これは後のブラックフェイスやシルバーフェイス期の、プリアンプの前にトーン回路がくるスタイルとは違っています。全てのトーンノブを最小にして音を作り始める場合、まずTrebleがだいたい正しく聞こえるように、ペダルのON/OFFを切り替えて音の違いを確認しながら設定し、次にゆっくりとMiddleを上げていきます。最後にBassの設定ですが、ここでベースブーストが不要なら、Bassは最小のまま使うのも良いでしょう。
こうした設定により、エフェクターやアンプのトーン設定に対する鋭い感性を磨くこともできます。例えばペダルのON/OFFを繰り返し、できるだけ同じ音になる設定を探してみるのも良いでしょう。完全に同じ音にするのは無理かもしれませんが、そういう遊びからも、トーンノブが思っているよりも幅広く設定できることに気づくはずです。
■ギター側のヴォリューム
Formula 5F6にとって、ギターのヴォリュームノブはもう1つのコントロールと考えることができます。そうなるように設計しました。
ペダル側でゲインが高くなっていても、ギターのヴォリュームを下げることでFormula 5F6は、本物のアンプのように美しいクリーンサウンドを作ることができます。そしてクリーンやクランチを自在に調整できます。さらに、ファズやブースト、歪みを追加すれば、さらにダイナミックなサウンドとコントロールが得られます。
■内部コントロール
・Presence
裏蓋を外すと、内部にはトリムポットがあります。これはペダルのプレゼンスや超高域の調整を行う物で、お好みに合わせて調整できます。出荷時のセッティングで、ほとんどの状態で最高のトーンが得られるように設定されていますが、それぞれのギターやアンプ、ペダルの組み合わせは様々です。それぞれの環境に合わせ、最終的なペダルのブライトさを調整することができます。
Formula 5F6で、特にステージで使いやすい音色が作れているのなら、このPresenceトリムポットの調整は推奨しません。特に自宅とリハ、本番で音が違うことを知っているのなら、どこに合わせるべきかは言うまでもありません。もし、ステージで音がブライトすぎると感じたなら、少しPresenceを調整してみるのも良いかもしれません。これはTrebleノブの調整とは違った働きをします。TrebleノブはTone Stack回路の中にあり、アッパーミッドレンジを中心にコントロールしますが、Presenceは最終的なブライトネスのコントロールで、3kHzあたりを中心に調整します。例えば、バンドアンサンブルで、ドラマーのシンバルとのバランスを取るため、ブライトが少し欲しいなら、Presenceを調整すると良いです。出荷状態の設定では、トリムポットはセンターに調整されています。
・Modeスイッチ
遂に、このシークレットリードモードについて語る時が来ました!この内部にあるModeスイッチは、Stock BassmanとSecret Leadモードの切替です。冒頭でも少しだけ述べましたが、このスイッチが、Formula 5F6をヴィンテージでローゲインサウンドを作るペダルから、カリフォルニアの火を噴くモンスターへと変貌させるスイッチなのです。ゲインはより高く、そしてTone Stackはブライトなエッジと太さを持つ全く新しい音になります。
勘の良い人は、それはマーシャルサウンドか、と思うかもしれません。とても良い考察ですが、違います。Secret Leadモードのサウンドは、あくまでもアメリカンサウンドのままの、ユニークで新しい音なのです。最高の時間を過ごしてください。(音量注意)
■ギター
実際のアンプと同様、Formula 5F6は使用するギターによって違った表情を見せます。ヴィンテージスタイルのフェンダー系ギターなら、まさにフェンダートーンとなり、ゲインを上げてもクリーンが出る範囲が広くなります。そしてハムバッカーや、他の高出力ピックアップのギターなら、Formula 5F6はゲインを上げればすぐに歪みはじめます。しかし、常にギターのヴォリュームを下げればクリーンサウンドが得られます。
■アンプ
一般論として、Formula 5F6はクリーンに設定したチューブアンプで最高のパフォーマンスを発揮すると言えます。しかし、設計時の予想とは異なり、Formula 5F6は歪んだチューブアンプでも素晴らしい結果を残したのです。特にフェンダー系アンプなら、アンプ側のトーンをTrebleを6、Middleを6、Bassを3に設定してみてください。Middleコントロールがなければ省いてもかまいません。そしてアンプのVolumeは2〜4に。これは一般的なFenderアンプで、Formula 5F6が最高のレスポンスを示す設定です。実際に開発時にもこの設定を使っています。
チューブアンプにおいて、Formula 5F6で最高のトーンとレスポンスを作るために、アンプのチューブの状態が悪くないかを確認してください。特にアンプ側のプリアンプの1stステージはFormula 5F6にとって非常に重要で、ここのチューブの状態が良くないと、Formula 5F6は弱く、ザラっとした微妙な音になってしまう場合があります。
■ペダルボードでの使い方
Formula 5F6は、様々な他のペダルと同時に使うことを想定して設計されています。非常にフラットなレスポンスで、周波数に余計な凹凸はありません。
Formula 5F6は、以下のルールに則って作られています。
・ギターのヴォリュームでクリーンやクランチを作ることができること。
・実際のアンプ同様、ペダルの前にオーバードライブやブースター、ファズなどを置いて使うことで、ペダルをクランクアップできること。
・ギターのダイナミクスやタッチセンシティブを犠牲にすることなく、ヴォリュームコントロールができること。
・アンプのオーバードライブチャンネルに接続して、より良いクランチが得られること。
即ち、Formula 5F6は実際のアンプのように使うことができるので、それを踏まえた上でボードを組んでいただければ、より良いサウンドが得られます。ファズやオーバードライブ、ブーストのような歪み系ペダルはFormula 5F6の前に、リバーブはFormula 5F6はの後に、ディレイやモジュレーションペダルは前後どちらに置いても良い効果となります。必要な音を探すため、様々な組み合わせを試してみてください。
一般的に、ディレイやモジュレーションペダルをFormula 5F6の前に設置すると、若干音にコンプレッションがかかることもあります。これらは、アンプのエフェクトループのように、Formula 5F6の後に設置することで、よりクリアなエフェクト効果が得られるようになります。
Formula 5F6は、特にファズペダルで軽くブーストすると、素晴らしい特性となります。良いファズペダルを使えば、Formula 5F6は、後にメタルへと続いていくヴィンテージルーツサウンドがどんなヴォリュームでも得られます。
■パワーサプライ
Formula 5F6は、一般的なエフェクター用のパワーサプライや、9V電池で動作します。センターマイナスの9VDC〜18VDCアダプタに対応(EPA-2000、またはRPA-1000推奨)し、特に18Vで駆動させればより高いヴォリューム、ヘッドルーム、そしてパーカッシブなアタックが得られます。9Vで駆動させると、歪みやすくやわらかい音となります。50Wアンプと100Wアンプの違いのように使うことができます。
18V駆動は、明らかに違います。特にバンドでプレイする際には最適で、アタックと音の明瞭さがアンサンブルで効果を発揮します。また、3〜4V程度、残量が減った9V電池を使うと、あまり大きな音が出せない深夜のジャムセッションなどに最適なソフトなサウンドが得られます。もちろん、電圧調整のできるパワーサプライを使っても同様の効果が得られます。電圧を落とすと、少しブリティッシュで消音量なサウンドにもなります。
電圧をいろいろ変えて、お好みの音を見つけてみてください。
■設計者からのメッセージ
みなさん、私はハワード・ジーです。このペダルについて、理解していただけたら幸いです。
今、私はいくつかのペダルを設計してきましたが、これまで、Formula 5F6を作ることはできませんでした。
しかし、経験を積み、ついに“on edge of breakup"レスポンスのペダルを作り上げたのです。めちゃくちゃ歪むペダルを作るのは簡単なんですが、クリーンでもなく、歪みでもない音を作るのは容易なことではありませんでした。
時間はかかりましたが、このプロジェクトが実現したことはとても嬉しく思っています。(私が嬉しく思わないと発売されないでしょうけど。)
そして、ストラト好きの私にとって、このペダルはまさに私のような者のためのペダルです。
みなさんが聞きたいことは分かっています。このペダルは、マーシャルサウンドのDirty Little Secretとどう違うのか。マーシャルはもともとベースマンをベースにしていたはずだ、ということですよね。
Formula 5F6は、ブリティッシュ感がありません。もっと必要ですか?それなら、Formula 5F6はよりゲインが低く、そしてオープンなサウンドで、ブライトで、きらびやかです。DLSはもっとダークで太く、飽和感があります。つまり、Formula 5F6はブリティッシュ感がないのです。しかし、両ペダルはどちらも同じTone Stackを採用しています。回路の他の部分は、それぞれのペダルが元にしたアンプと同様に動くよう調整されています。ゲインステージ、周波数ステージ、そしてインピーダンスステージです。よし、もう十分でしょう。
Formula 5F6は、ダイナミクスが広くタッチセンシティブなペダルだということを覚えておいてください。それこそが私のモットーなのです。
Peace, love, and awesome guitar sounds,
Howard Gee