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楽器が持つ音質を重視した次世代ノイズリダクション&ゲート。
■ノイズリダクション開発のきっかけ
ギターやベースのピックアップが拾ってしまうノイズは、ミュージシャンやレコーディング・PAエンジニア、電気技術者が、長年悩み続けてきた問題の一つです。近年、パソコンやLED電球、携帯電話やワイヤレス機器などの普及によって、ピックアップが拾ってしまうノイズの量は、以前より増えたと言われています。ブーンと唸るような低いノイズから、ジーと言う非常に高いノイズまで、場所によってノイズの種類も様々です。状況が酷くなると、ギターやベースの演奏に支障をきたしてしまう場合もあります。ノイズを目立たなくさせるために、ボリュームを瞬時に絞ったり、ボリュームペダルやスイッチングシステムでミュートを駆使したりしながら演奏する場合もありますが、多様なフレーズや曲に対応するにはそれにも限界があります。演奏に集中する環境を作るため、特にステージ上でピックアップが拾ってしまうノイズに対して、どのようにしたらノイズが減らせるのか、相談の問い合わせがフリーザトーンに多く寄せられてきました。
■ノイズ低減への取り組み
ピックアップが拾うノイズを減らす方法としては、ノイズキャンセリング構造を持つピックアップを採用したり、ギターやベース本体のシールド効果を向上させたりする方法などがありますが、いずれもギターやベースから出力する音質を変化させてしまいます。またノイズを減らす量や帯域にばらつきがあり、その効果は限定的です。その他に、ノイズを目立たなくするためにハイカットフィルターを使用するケースもありますが、それでは重要な音質を変えてしまいます。フリーザトーンでは、ノイズを減らすための解決方法を様々な角度から検討し、楽器から出力する信号のレベルを自動的に下げる方法が音質的にも、楽器の音の減衰時の自然さを残すためにも最良の方法であると考えました。ギターのボリュームやボリュームペダルを使用して音量を絞り、手動でノイズが目立たないようにしていた動作を、電気的に自動でかつ高速に行わせるわけです。
■デジタルとアナログの融合
「INTEGRATED GATE」の開発にあたり、音声信号ラインは音質重視の視点からデジタル化せずアナログ信号の状態で残し、デジタル回路によって高速で正確な出力レベルを制御するアプローチを行いました。フリーザトーンが得意とするデジタルコントロールド・アナログサーキット方式です。PA-1Qシリーズ(Programmable Analog 10 Band EQ)やTRI AVATAR (TA-2H) でもこの技術が使われています。
■シグナル・モニタリング機能
ピックアップが拾うノイズは、弦の振動が減衰し音量が小さくなるにつれて目立つようになります。弦振動の減衰は一定ではなく、弦振動のうねりもあり、実際には音量の増減を繰り返しながら徐々に減衰していきます。これは従来のノイズゲートが持つ課題であった音の切れ際での不自然さを発生させる原因でもあります。この問題を解決するために、入力信号を常にCPUによって監視するシグナル・モニタリング機能を新たに開発しました。常時、入力される波形を監視しながら解析を行い、波形に応じた最適な出力レベルのコントロールを高速で行うことで、自然な減衰を得ることに成功しました。
■2種類の動作モード
「INTEGRATED GATE」は、ノイズリダクション・モードとノイズゲート・モードを持っています。
・ノイズリダクション・モード
ノイズリダクション・モードでは、設定した音量(THRESHOLD値)以下になると、ノイズを目立たなくさせるためにノイズリダクション回路が音量を緩やかに下げる動作を始めます。シグナル・モニタリング機能によって最良の音量コントロールを行い、自然な減衰を実現しています。設定した値を超える信号が入力されると、即座にノイズリダクション回路は信号をそのまま通過させます。
・ノイズゲート・モード
ノイズゲート・モードでは、設定した音量(THRESHOLD値)以下になった時、即座に音をミュートする動作を行います。演奏時、音を即座に止めたい時などに役立ちます。歯切れの良いゲート・エフェクトとして使用することができます。
■音質の追求
音質については、「INTEGRATED GATE」を通過させることで発生する音質変化を、いかに最小限に抑えるかが、最後に残った最も難しい課題でした。「INTEGRATED GATE」を接続しても違和感が無く、音質の変化が感じられないのが理想です。ギターやベースの持つ本来のサウンドを、本機の後ろに接続された機器に伝えるために、音声信号が通過する回路は完全アナログ回路とし、十分に時間をかけて音質検討を行い完成させました。従来のノイズリダクションやノイズゲートの音質とは、根本的な違いを感じていただけると思います。
■MIDI信号によるエフェクトON/OFF機能
また、本機はMIDI IN端子を装備しており、MIDI信号によるエフェクトON/OFFコントロールを行うことができます。本機をARC-4やARC-53Mなどオーディオ・ルーティング・コントローラーと併用して使用する際、非常に便利な機能です。エフェクトループに接続する必要がありませんので、大きな配線変更をすることなく、ペダルボードに組み込むことができます。
■特徴
・独自のシグナルモニタリングシステムにより、入力信号を常時監視。入力信号に最適なノイズリダクション動作を行います。
・ノイズリダクションモードとノイズゲートモードを装備。目的に応じて動作を選択することができます。
・入力インピーダンス切替スイッチ(Hi-Z/Lo-Z)を装備。
・MIDI信号(Control Change Number) によるコントロール(エフェクトON/OFFのみ)が可能。
・HTS(Holistic Tonal Solution) 回路を搭載しています。HTS回路は従来のバッファー回路とは異なり、ギターやベースの持つサウンド特性を極限まで引出しながらインピーダンス変換を行い、「高音質」と「低ノイズ」を両立しています。エフェクトOFF時も、このHTS回路がギター、ベースのサウンドの音質劣化を防ぎます。
・出力信号は、入力信号と同位相で出力していますので、位相反転の心配はありません。
スペック
■入力インピーダンス:800kΩ(Hi-Z)、 300kΩ(Lo-Z)
■出力負荷インピーダンス:10kΩ以上
■最大入力レベル:=+15dBu
■コントロール:THRESHOLD、入力インピーダンス切替スイッチ(Hi-Z/Lo-Z)
■端子:1/4インチ標準フォーン・ジャック×2(入力、出力)、DC9V入力ジャック(ACアダプター接続用)、3.5mm ステレオミニフォーンジャック端子(MIDI IN)
■電源:電池 (9V形006P型)、ACアダプター(DC9Vセンターマイナス)
■消費電流:35mA
■サイズ:72(W)×115(D)×50(H)mm(フットスイッチやジャック等の突起物含む)
■重量:約190g (付属品を含まず)
■付属品:保証書、WEBサイトアクセスカード、安全上の注意、ゴム足×4個